店舗お役立ち情報

第19話 チェーンオペレーションにおける個店戦略①

 2018/11/28

STEP 5    地域のお客様にせまる

 

さて、今回からは「STEP5 地域のお客様にせまる」に入って参ります。

 

 弊社の状況として、本年度は各社様より様々なコンテンツで研修のご依頼をいただきました。例えば、店長養成系や新人育成系などの階層別タイプ。或いは、商品部員育成、商品開発といったマーケティング系タイプ。また問題解決やビジネスコーチング系のスキルタイプなどなど各社様の状況に応じ教育ニーズは多岐に渡りました。

 

 その中で、小売業界向け…という意味ではかならず扱うのが、今回のタイトルである「個店戦略」です。

 

 近年では個店与件に全く配慮せず、完全に全店のオペレーションを統合する形で、効率を高め成功を収めているケースもでておりますが、多くの場合は企業(屋号単位くらいが最も多いでしょうか)の全体戦略に沿って、個店マーケットにアジャストさせる事で、地域のお客様に貢献していくスタイルなのではないでしょうか。

 

 大店法から大店立地法に変わった際に起こった店舗の大型化や、その後の坪効率の悪化(生産性の低下)から小型店化が進むなど、時代に合わせた様々な戦略展開の中で、店舗フォーマットのバラつきがあったり、出店エリアの商圏特性や住民特性が異なったりする事が主たる要因でしょう。

 

 一方で、バブル崩壊以降、収益性が低下し業界全体が小さな本部での事業運用を求められてきた中、個店毎の状況の違いをセントラル形式でグリップする事は難しく、現実的には店長を中心とした店舗メンバーが、その対応に迫られているのが実情ではないでしょうか。

 

 ところが店舗の方も、少ない人員での効率的な運用を迫られており、役職者も店舗オペレーションのフォローに入る等のサポート活動に手を取られ、地域を分析したり、根本的な品揃えを考えたりする時間がとれない…というのも苦しい実態です。

 

 私自身、店舗運営管理を担っていたころは、同様の状況でしたし、実際に分析しようとした際に、方法論が確立していない為、手探り状態からのスタートでした。手法についてはまさに暗中模索といった感じでした。手数不足の中で、手法が不明確であるとますます手を付けにくくなる…実態はそんな感じでした。

 

 また市場全体の傾向としてPB化が進んでいることも、「個店戦略」という意味では「若手層の成長」を阻んでいます。組織内にいると、社内情勢の中、こういった発言はしにくい部分もありますが、外から客観的にみていると、PB化によって若手の店舗運営管理力や、エリアマーケティング力は低下していると言わざるを得ない状況です。

 

 具体的に申し上げれば、企業として投資を行い、在庫リスク等をもって、開発をした商品は、地域に合っていようが、合ってなかろうが、全店で売り込む事が求められるケースが非常に多くなっています。結果として、現場から見ると商品は次々にオリジナルのものが送り込まれて来る状況となります。また、NB商品もPBに対抗して価格訴求の展開が増加しており、その際は量をもって展開する事が前提となりやすい為、こちらも商品が大量に送り込まれます。市場そのものが、かつてのような売り手市場ではない事もあり、店舗は商品であふれ、店舗メンバーは送り込まれたものを、いかに消化させるかが、重要な仕事となっていきます。

 

 かつては、自店でどれだけ地域で支持される売れ筋商品をおさえるか、また地域で支持される品揃え(商品ラインアップ)を構築する事が重要な仕事でしたが、徐々に政策商品を売り込む事へのウェイトが高まっています。言い換えれば、送り込まれた商品を消化させる事に懸命にならざるを得ない状況とも言えるかもしれません。

 

 結果として「地域商圏にせまる」機会が減少し、若手は伝承をうけることができず組織としてノウハウを喪失していく傾向が高まっています。

 

 その為、私が担当する研修では、店長養成であっても、若手向けで合っても難易度こそ違えど「個店戦略立案」を入れています。基本的なフレームワークとも言えます。

 一方ベテラン層を中心に、かつて実際にやってみたが、使いこなすのが難しく、やっても意味を感じない…という経験をうかがうケースも多々あります。よくよく聞くと、使い方が漠然としている事を原因に、上手く使いこなせていないパターンが多くなっています。実際に上手く活用するポイントはフレームの中に中項目、小項目を設定することなのですが、これが我流だとなかなか掴めず、実際に使いこなした人しかやり方をしらないのです。

 

 次回以降は、いくつかのフレームワークと合わせて、上手く活用する為にはどのように使ったらよいのかを紹介していきたいと思います。使い方を変えると、一般フレームワークでも有効に扱う事ができます。次回は具体的な内容についてお伝えしていきます。宜しくお願い致します。

 

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【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com)

株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント

学校法人産業能率大学総合研究所 兼任講師

一般社団法人インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

一般社団法人日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  

店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、

小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、

プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  

その後、管理部門責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。

2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。

組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

http://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

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第18話:構成比を使った売場運営④~検証

 2018/11/18

STEP4  3つの構成比で店を操る

 

さて前回は3つの構成比を使った売場での取り組みについて

実践後の検証段階でのお話を致しました。

 

メンバーにとって、一定の基準ができるが、

継続して実践しないと効果が薄い点や、

シーゾナルタイプとステープルタイプの違いなどによる

扱い方法の違いなどについてお伝えいたしました。

 

一方で、継続した実施ができるようになってくると

次の課題にぶつかります。

 

自分の売場の分類方法が根本的にどうなのか?

という壁にぶつかります。

 

小売業における分類にはいくつかのタイプがあります。

まず一つ目が「商品分類」になります。

少し言い方を変えると「商品製造分類」と呼ぶこともできるでしょう。

生活消費材である場合は特にこの傾向が高まりますが、

基本的に商品そのもの事を指しています。

パンなら朝食にしようが、夕食で食べようが同じパンである…

といった具合で、製造工程での分類とほぼイコールになります。

この分類で売場も展開するという方法です。

 

もう一つは、消費者ニーズに合わせた分類で、

「売場展開分類」と呼ばれるタイプです。

お客様の買い方や、認識に合わせて商品を括り

コーナー化して売場を展開していきます。

関連販売やコーディネート販売、ブランド分類といった

訴求力をたかめる事を狙った考え方です。

 

どちらもメリット、デメリットが存在し、

状況に応じてミックスすべきものですが、

構成比管理をしていくと、

程度の差こそあれ、もう一つの分類が

運営を阻害するケースが発生します。

 

それが「データ分類」です。

 

POSの普及が進むにつれて、

過去に比べると、

データ分析をする際の負荷が

だいぶ軽くなってきてはいますが、

構成比データを活用しようとすると、

データ分類と売場の分類が

ある程度近くなっていないと

いちいち手計算で組みなおさなければならない

場面が多発してきます。

 

私自身、この問題にはかなり手を焼きました。

店舗ではシステム上での解決には手が出せず、

手作業の進め方の改善による時短にとどまりました。

本部スタッフとしてシステムの回収時にインタビューを

受ける事ができた機会があり、

この問題についてしっかりとインプットをしましたが、

ヒアリング担当者はその話は既にグリップできていて

改善に向けて動いているとコメントし、

結果でてきたものには全く反映されていない…

という結果が待っていました。

 

製造→仕入→物流→店舗納品といった

工程で進んでいく事を考えると、

小売側の川上が仕入部門である事が多く、

この段階で商品部類と売場展開分類の照合を

真剣に議論をしていかないと、

なかなか改善が進まないのですが、

なかなかこの階層にメスを入れるところまで

手が回らないのが実態です。

 

ここにルーティンで改善アクションを起こす事ができれば

論理的な仕事を推進する事に大いに役立ちますので

可能な企業様は是非トライアルをしていただきたいと思います。

 

店舗レベルで行けば、

限られた時間で、どこまで有効な分析ができるかを考え

絞り込んで分析を実施するのがベストでしょう。

 

編集型の売場を、

どの程度の規模、レベルで実施するか、

つまり、維持継続可能な顧客分類による売場を

どの商品カテゴリーでどのくらい実施するかを

考えていく事になります。

 

構成比管理を突き詰めると、

データ分類と売場展開を一致させればよいのでは?

という話にもなりますが、

目指すべきは顧客に種維持される売場であって

我々が管理しやすい売場ではない…という事です。

ここを間違えると本末転倒になりますので注意が必要です。

 

逆にこの問題が出てくるようになるという事は

メンバーの力がかなり向上してきたことになります。

 

ここまでくれば、

売場の管理がかなり掌に乗ってきた…

といえるでしょう。

 

お客様のニーズに迫る品揃えに向け

着々とPDCAが回るようになっているはずです。

こうなると徐々にお客様からの支持も高まり始めます。

是非継続して3つの構成比を活用した

売場運営にトライしてみてください。  (^^♪

 

 

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【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com) 株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント 学校法人 産業能率大学総合研究所 兼任講師 一般社団法人 インターナショナルバリューマネジメント協会 理事 一般社団法人 日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定 ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  その後、管理部門の責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細http://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

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