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第14話:売場担当者の利益目標をどう設定するか

 2018/04/30

STEP3:粗利ミックスを考える

 

 

皆さんこんにちは。

さて、今回のテーマは表題にあげた、

売場担当者の利益目標の設定についてです。

 

先日、支援先のある企業の店長からこんな質問をいただきました。

「スタッフに利益目標を持たせるとしたら、どう設定したら良いか」

という事についてです。

 

考え方は色々ありますが…という事でひとまずは

想定し得る切り口をいくつか提示し、メリットデメリットを説明していきます。

 

■「営業利益」ベースで設定する

 メリット

  本筋から言って利益視点を持たせるのであれば、

本業の利益を示す営業利益で考えるべきで最も目的に合致する。

 デメリット

  自分の担当分野についての営業利益で考えなければ、

  目標管理の視点からいうと意味をなさないが、

  商品別や売場別で数値をグリップする為の手数が別途必要になる。

  ※当該店舗では売上、粗利までは把握しているが、

   商品別での損益計算は行っておらず、非現実的である。

 

■「売上ベース」で設定する

 メリット

  最もわかりやすく数値を表示する事が可能で、

  日々レベルで成果を図る事ができる。

 デメリット

  単品毎の収益性が考慮されず、またロス管理についても

  対象から外れる為、スタッフへ利益目標を持たせたいという

  そもそもの目的に合致しない。

 

と、ここまでは普通の話ですが、

最終的にどうするか?という議論になりました。

改めて集計しなくても見る事ができる数値をベースに

メリット、デメリット論を続けます。

 

■粗利率ベース

 メリット

  売上予算が決まっている為、そこを達成しつつ

  粗利率目標を設定すれば、利益視点での業務の遂行につながる。

  最終目標値を明確にすることで、利益に対する軸ができ、

  担当商品全体の粗利率について敏感になる。

 デメリット

  粗利率が上がれば何でも良いという状況になってしまう可能性がある。

  例えば、お客様にとって必需品であっても、

  もともとの粗利率が低い商品を扱う事で粗利率が下がる為、

  商品扱いをカットする、フェイスを縮小するといった場合がある。

  ※実際に同様のアクションが発生するケースを体験してきた。

   設定値を下回るアイテムをいかに扱わないようにする事で目標達成に近づき、

   逆に扱ってしまうと、設定値を上回る効果を出す商品を別途つくる必要がでてくる。

   結果としてお客様本位の品揃えにならなくなる。

 

■粗利額ベース

 メリット

  単品毎にいくらで売るかが重要になる為、

  売り切り処分等を含めた価格設定に敏感になる。

  価格を出して売り込む際でも、粗利額に敏感になる。

  粗利額ベースで発想する為、顧客の支持がある商品を扱う事での

マイナス効果が発生しない。

 デメリット

  粗利率の低い商品を扱うケースが発生する。

  薄利多売で粗利を確保する発想が生まれる。

  ※原価を割らなければ足は引っ張らないという発想が生まれる。

 

 

さて、後者の2つの指標についてどう思いますか?

ちなみにこちらでは後者、「粗利額」で考える方をとりました。

選択した理由は、顧客満足度の重要度を高く捉えたからです。

 

 

お店が目指す基本的な構造を考えた際に、

こんな選択肢を示して問いかけを致しました。

そもそも今回の利益意識を高めて何を狙っているかについてです。

A:商品サービスに満足してもらい品揃えの良い店だと認識してもらい、

  今後もリピートをしてもらいたい。

  継続して満足度を追求する為には原資が必要になる為、

  利益もしっかりとだし、今後の投資も確保したい。

B:しっかりと目標利益を確保する事ができ、

店舗の、自身の、メンバーの社内評価が高まった。

C:その他

 

売上は、お客様からの支持のバロメーター、

利益は、お店のマネジメントのバロメーター

このように例える事があります。

ケースによっては、マネジメントがあまりにザルなので

何とかしたい・・・というパターンもあります。

マネジメント強化が目的である場合、

「B」が狙いという事も実際にあり得ます。

 

今回の場合は、「A」がベースという事でしたので、

お客様重視の品揃えを維持しやすい「粗利額」を

目標設定指標とすることにしました。

財務でも貢献利益をいう考え方がありますが、

少ない粗利しか稼げない商品であっても、

お客様の暮らしに欠かせないような商品は

逆にどこよりもしっかりと扱い、

顧客満足を高め、リピートを増やす事で、

お店を活性化させたい…という方向です。

 

 

同一業態の競合条件が激化するだけでなく、

各業態ともクロスMDに取り組み品揃えの幅を増やしています。

結果的に、コンビニでも生鮮食品が扱われ、

ドラックストアでも食品が扱われ…

といった状況がどんどん進んでいる中、

使い分けの中でお客様に選んでもらう店つくりをする事の

重要性が高まっています。

 

売り手の論理からいうと、都合の良い事であっても、

お客様の立場で考えると良くないというアクションを

知らず知らずのうちにとっていると、

お客様の支持を失ってしまいます。

 

継続的に、将来もお客様に良い商品、サービスを提供し続けられるよう

対応策も考えなければならない時代になりました。

定期的に判断基準の振り返りが効果的です。

是非、お客様目線の店作りを推進していきましょう。