第9話:店舗で行う具体的「商品ロス削減策③」
■STEP2:最大の害は商品ロス 2017/08/17
さて前回までに、商品ロス(特に外部ロス)を
防止する為の具体策として、「①店内の従業員動線(第7話)」、
➁店内の従業員のポジショニング(第8話)」に
ついてお伝えして参りました。
※詳しくはバックナンバーをご覧ください。
今回は第3弾として、平素質問の多い
ショッピングモール等のテナントとして
入店しているショップでの
ポジショ二ングについてお伝え致します。
7話、8話でお伝えしてきた話は、
比較的自営面積の大きい大型店の場合は
有効性が高いものの、
1店舗の面積が小さい店舗ではどうしたら良いのか?
という質問をいただくケースが多々あります。
そこで、今回は20坪〜50坪程度を
イメージしたショップ型店舗での
ポジショニングをテーマに致します。
衣料品や雑貨店、コスメなどが
多いジャンルです。
あるいは大型店でも
館の形状が多層型になっている場合や、
専門店型の作りになっているなど、
部門毎にはっきり売場の「場」が
分かれているケースも同様でしょう。
では具体的な対策を考えていきましょう。
全体構成は以下のような4STEPとなっています。
「1~3」は対策立案時に1度やればOKです。
「4」は日々の人員配置に落とし込む事が
有効になりますので、
設定後はルーティンワークとなります。
1:客導線を分析する。
2:平面図から死角の位置を分析する。
3:有効なポジションを探索する。
4:人員配置と連動させる。
ではさっそく「1」から進めていいきましょう。
【1:客導線を分析する】
まずは、店舗ごとに客動線を分析していきます。
※売場設計の時は意図的に
「導」を使用していますが、
お客様の動きを分析する場合は
「動」の文字を使用しています。)
店舗のみなさんは、
おおよそ体で理解していますが、
ポジショニングを考えるにあたっては
角度が大切になりますので、
どちらの方向からどのくらいの
お客様が動いてくるかを
形式化する必要があります。
(1)フロア全体の状況の確認
まずは、大きく自店の
フロアの全体図を確認し、
どこからお客様が流入して
くるのかを押さえましょう。
①交通手段による違い
交通手段で変化する館への
出入り口の場所とそこから
どちらに流れるかの向き
「徒歩」「自転車」「自動車」
「バス」「タクシー」など
入店後、大きくどちらの方向に
足が向いているのか、
傾向があればそこも押さえる。
②フロアへの流入口
自売場のあるフロアへの
流入口を確認し、そこから
どちらへ流れるかの向き
「エレベーター」「エスカレーター」
「階段」など
自売場へ訪れるお客様がどちらから、
どのくらいくるかを考える
まずは全体感として、お客様がどこから入店し、
どの向きに動いているかをしっかりと捉えましょう。
この要素は商品ロス対策だけでなく、
お客様を店内奥まで誘導する為の
VMD対策としても重要なポイントになります。
(2)状況がはっきりと変化するタイプ
注意点としては、お店によって発生している
様々な特徴をしっかりと捉える事です。
具体的にいうと、時間帯別や、曜日別、
シーズンによって流れが変わる場合、
その変化をしっかりと抑える必要性があるという事です。
下記のような店舗のケースは
それぞれパターン化する事をお勧め致します。
①客動線が変化するパターン
時間別に客層が変化し交通手段や、
ニーズが変化する場合
例 ・午前
当日の食材や生活必需品を
購入しにくる高齢者中心
主に徒歩・自転車・バス
・日中
子供が小さいヤングファミリー層が中心
主に徒歩・自家用車
・夕方以降
通学の学生や、通勤の若い世代が
中心となり衣料品や雑貨などを
目的に回遊したあと、
惣菜や弁当などを求めている
主に電車・バス・自転車
②曜日別に客層が変化するケース
例 ・平日
生活必需品の需要が殆どで
半径500m程度の近隣住民が中心
主に徒歩・自転車中心
・休日
嗜好品へのニーズが拡大し、
商圏半径は大きく広がる
買い物にくると共に遊びに
来ているファミリー層が多い
主に自動車中心
③季節別の変動が大きいケース
・夏場
日中に気温が高くなるため、
朝晩にお客様が集中する
・冬場
午前中に雪かきをしている
ケースが多く、出足が遅い
どのお店でも多かれ少なかれ、
変動はあるかと思います。
7:3が6:4になるといった変化は
そこまで気にすることはありません。
一方で、7:3が4:6になると
いった変化が起こる場合は計画的な
対応が必要です。
ここでは、お客様が自分の店に
向かって歩いてくる流れの変化の
話をしているので、
交通手段の変化等で
お客様の移動する
向きに着目してください。
客層の変化については
考えなくて結構です。
客層の変化については、
今後売場作りについて
論じていく際に言及致します。
まずはこの段階で、
1パターンで良い店舗は1色で、
複数パターンある店舗は色を分けて、
どちらの向きからどのくらいの
割合でお客様がきているかを
書き込みましょう。
細かな計測は必要なく
大ざっぱで結構ですので
一度図面に、向きと割合を
落としてみましょう。
その後しばらく注意して観察し、
おおきな狂い(初期値が思い込みだった場合)
でなければ次のステップに進みましょう。
【2:平面図から死角の位置を分析する】
(1)レジポジションから見た死角を確認する
まずは、自分の売場の平面図を分析し、
死角の存在を分析します。
まずは最も従業員が滞留する場所を
軸に確認をしてみましょう。
多くの場合で、
滞留箇所の代表例として
レジが上がりますので、
まずはその位置を
軸に考えてみましょう。
レジ側から①で落とし込んだ
お客様が向かってくる方向を確認してください。
その際に死角はないでしょうか。
比較的ショップ型店舗の場合、
柱や造作物が壁となって、
お客様が見えないケースが発生します。
この状況で対策を打たないと、
従業員がレジの中にしかいない場合、
裏側は完全に死角となり、
まったくお客様の動向が見えません。
接客できないばかりか、
商品ロス(特に外部ロス)の
発生原因となってしまいます。
他にも什器配列上の視覚や、
高い什器が視界を遮って
死角をつくってしまっている例もあります。
こういったケースでは、
防犯カメラや、ミラー、
そしてその設置をアピールするPOP等が
「抑止力」や、「牽制力」を高める対策として
活用されていますが、
それぞれ一長一短があります。
(2)防犯機器の効能
①防犯カメラ、POP
出来心での外部ロス(万引き)には有効。
犯行を証明する材料となりやすい。
プロ化した常習者への効果は低い。
※映像を100%キャッチできていない事を
知っている為、短時間で犯行に及べば
効果を発揮しにくいことをわかっている。
②ミラー
従業員が常に注意を払っている事が
認識できるレベルであれば効果が高い。
逆に見ていない(見ていないと察知されている)
状況であれば効果が低い。
※従業員の平素の働き方しだいで
効能に変化が生じる
その為、弊社主催の研修では
データを紹介しながら、お伝えしていますが、
過去の警視庁の統計では、
「万引きを途中でやめた際の理由」
についての回答として、
トップは「店員からの声かけ」で
60%強となっています。
ある意味、原始的ではありますが、
結局のところ、これが一番有効なのです。
その為、次のステップではお客様への接客面でも、
万引犯への防犯面でも効果的に声かけするには
どうしたらよいのか…という議論になります。
(3)二人目の配置を考える
①入店客をグリップできるポジションを探る
まずレジに1人いる事を前提として、
もう一人メンバーを配置する際に
どの場所に立つとお店に入ってくる
お客様をグリップできるでしょうか?
※一人目がレジから離れることができるなら、
レジから離れたポジションで
想定して頂いて大丈夫です。
すべての角度を見渡せるにこした事はありませんが、
この時のポイントは、お店(売場)に入ってく事が
見渡せる事を最優先してください。
②入店時を優先する理由
入店時に「いらっしゃいませ。●●●●…」と
一声かける事を目的とするからです。
お客さまには、
「販売員として私がここにいますので、
何かございましたらお声かけください。」
というメッセージになり、
万引き犯からすると、
「あっ見られているな・・・・」
という感覚を覚えます。
万引き犯の心理としては、
リスクの高い店では犯行を避けます。
相手の立場にたって考えれば
わざわざマークされている
店で犯行に及ぶ必要はなく、
他の店に移動をしていきます。
逆に日ごろからきっちり対応する事で、
そもそも犯行を検討する店の対象から外れます。
「この店はちゃんと見ている店だから…」
となるのです。
その為にも入り口で
しっかりとご挨拶をできる
体制が重要になります。
入り口にぴったり張り付かなくても、
入店する事に気が付く
場所、角度に陣取ればOKです。
さて少々長くなりましたので、
今回はこのあたりにして、
次回は
3:有効なポジションを探索する。
バランスをとって有効な
場所を探索し拠点を作る
4:人員配置と連動させる。
その時々の従業員の人数や
お客様に流れの特徴に合わせて
基本パターンを作成し、
日々の業務に連動させる。
についてお伝えして参ります。
一度しっかりと対策を練って、
ルーティン業務に落とし込み
定着させることができれば
様々な相乗効果がでますので、
是非取り組んでみてください。
ご不明点等ございましたら、
HPよりメール等でお問合せ下さい。
宜しくお願い致します。
↓お問合せは下記より
https://www.nihon-hoan.co.jp/contact/”>
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【 筆者プロフィール 】
株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役 専田 政樹 (https://kyodaisha.com)
株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント
7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士
店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。その後、管理部門の責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。
「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。
→プロフィール詳細
https://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%
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